残業代をカットできる制度の対象業務を拡大?

「残業代ゼロ法案」と並行して,こんな制度が実現されようとしています。この制度の危険性を強調するため,「ブラック法案によろしく」本編から抜き出して,ここに記載します。


【ブラックジャックによろしく 佐藤秀峰 漫画 on web 】

「ブラックジャックによろしく」二次利用規約


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 残業代を合法的にカットできる制度として,企画業務型裁量労働制というものがあります。これは予め決められた時間働いたと「みなす」制度です。例えば,予め決められた時間が8時間であれば,実際何時間働いたとしても,8時間働いたとしかみなされません(※この制度でも休日,深夜の割増賃金は発生します) 。

 現行法上,その対象業務は,「事業の運営に関する事項についての企画,立案,調査及び分析の業務」であることがまず必要とされています。政府はこの部分に新たな類型を追加しようとしているのです。

 そして,追加が予定されている対象業務は,漫画のセリフのとおり,一見するとよく意味が分かりません。しかし,これをじっくり読んで考えてみると,驚くほど広範囲の業務が含まれるのです。この点につき,日本労働弁護団の意見書では,具体的に下記の危険性を指摘しています。

http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/post-79.php

 ①店頭販売等の極めて単純な営業以外の個別営業業務が対象に入る可能性がある。

  (※法人相手の営業業務が全て入ってしまう可能性すらあります。)

 ②現場で業務管理を行う労働者がすべて対象とされる危険がある。

 残業代ゼロ法案と同時に,こんな危険な制度も実現されようとしています。これは残業代ゼロ法案に匹敵する重大な問題です。