ブラックバイト事件
第1 事件の概要
1.当事者
当方:20代の男性(大学生),雇用形態はアルバイト。
相手方:バーを経営する男性
2.勤務態様
当事者は、平成26年4月、バーでバーテンダーとして働き始めた。当初は週3回の出勤だったが、もう1人のアルバイトが辞めたことから出勤日数が増え、10月以降は1週間続けて働くこともあった。
また、店のオーナーの男性が「店の経営状態の悪化」を理由に歩合給への変更を通告し、それ以降は全く賃金が払われなくなった。それだけではなく、「店の赤字の補填」名目で金銭を要求され、当事者はオーナーに10万円を払ったが、平成27年2月の退職時には180万円以上の債務が残っていると言われていた。
平成27年になると、オーナーから当事者に対する暴行や暴言もあり、また、1月から退職までは40日連続勤務が命じられた。そのような状況のため、当事者は大学3年時に取得予定の単位の半分を落とすことになった。
3.紛争の内容(法的な論点等)
当事者は、ブラックバイト問題に取り組む「仙台学生バイトユニオン」に相談し、そこからブラック企業対策仙台弁護団の弁護士3名への依頼につながった。
平成27年11月18日、残業代を含む未払賃金、パワハラによる慰謝料、「赤字補填」名目で払った金銭の合計約210万円を請求する労働審判を、仙台地方裁判所に申し立てた。
第2 結果
第1回期日前にオーナーが200万円を支払うという和解が成立し、労働審判を取り下げた。
第3 担当弁護士コメント
「ブラックバイト」事案に対して、労働審判が使えることが示せたことの意味は大きかったのではないかと思う。
ただ、学生が弁護士に相談するハードルはあると思われるので、この事案についても、労働組合との協働の成果という側面は大きい。