高度プロフェッショナル制度に関する政党・国会議員アンケート結果

当弁護団は,各政党及び衆参両院の厚生労働委員会所属国会議員に対し,いわゆる高度プロフェショナル制度に関するアンケートを実施しました。 回答のあった方について,随時掲載していきます。理由の記載があった方については,理由を原文のまま記載しております。

目次

Q1 高額年収等の一定の要件の下で労働時間に関する規定の適用を除外する,いわゆる「高度プロフェッショナル制度」の導入について

賛成

●日本維新の会政調事務局

(理由)働いた時間の長さで評価するのではなく,働いた成果によって評価する制度に転換すべきである。

反対

●自由党(党としての回答)

(理由)理念を認めないわけではないが、現在の日本の職場環境では運用が難しい。

●共産党(党としての回答)

●国民民主党(党としての回答)

(理由)過重な長時間労働を合法的に課すことができ,過労死や過重労働を助長する制度であるため。

●国民民主 大西健介議員衆議院議員

(理由)長時間労働に対する歯止めが実質的になく、過労死が起きても労働時間の把握が困難で労災認定も受けられないため

●立憲民主 長谷川嘉一衆議院議員

●国民民主 白石洋一衆議院議員

●共産党 高橋千鶴子衆議院議員

●社民党 福島みずほ参議院議員

(理由)労働時間などの規制のない労働者を作ってはならない。

●共産党 倉林明子参議院議員

(理由)長時間労働・過労死を促進するもので到底要因できない。さらにデータねつ造問題で法案の前提が崩れた。法案は撤回すべき。

その他

Q2 高度プロフェッショナル制度の対象者について,最初は年収1075万円以上とされているが,この対象は拡大していくべきか。

拡大すべき

●日本維新の会政調事務局

(理由)年収要件は700万円まで下げるべき。

拡大すべきでない

●自由党(党としての回答)

(理由)成果の評価が判断しにくい層まで及ぶ可能性が高く一方的に労働者が不利になる。

●共産党(党としての回答)

●国民民主党(党としての回答)

(理由)過重な長時間労働を合法的に課すことができ,過労死や過重労働を助長する制度であるため。

●国民民主 大西健介議員衆議院議員

(理由)そもそも高プロは必要ない。年収が高ければ過労死のリスクが低いと言う理屈が理解不能。だが、少くとも年収要件の引き下げには反対。

●立憲民主 長谷川嘉一衆議院議員

●国民民主 白石洋一衆議院議員

●社民党 福島みずほ参議院議員

(理由)そもそも反対。対象者が拡大する恐れ。

その他

●共産党 高橋千鶴子衆議院議員

(理由)制度の導入に反対しているので、拡大する、しないではない

●共産党 倉林明子参議院議員

(理由)拡大すべきでないことはもちろんだが,そもそも,高度プロフェッショナル制度を導入すべきではない。

Q3 高度プロフェッショナル制度については,労働基準法の労働時間,休憩,休日及び深夜の割増賃金に関する規定の適用が除外される代わりに,四週間を通じ四日以上かつ一年間を通じ百四日以上の休日を確保すること及び下記の健康確保措置のいずれか1つを取ることになっているが,これは健康確保措置として十分だと考えるか。

(1)労働者ごとに始業から二十四時間を経過するまでに厚生労働省令で定める時間以上の継続した休息時間を確保し,かつ,深夜業の回数を一箇月について厚生労働省令で定める回数以内とすること。

(2)健康管理時間を一箇月又は三箇月についてそれぞれ厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内とすること。

(3)一年に一回以上の継続した二週間(労働者が請求した場合においては、一年に二回以上の継続した一週間)(使用者が当該期間において、年次有給休暇を与えたときは、当該有給休暇を与えた日を除く。)について、休日を与えること。

(4)健康管理時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に健康診断(厚生労働省令で定める項目を含むものに限る。)を実施すること。

十分である

十分でない

●自由党(党としての回答)

(理由)休日が明らかに少ない上、健康確保措置を企業側が選択できることも問題。

●共産党(党としての回答)

●国民民主 大西健介議員衆議院議員

(理由)インターバルは、選択的措置ではなく義務化すべき

●立憲民主 長谷川嘉一衆議院議員

●国民民主 白石洋一衆議院議員

●共産党 高橋千鶴子衆議院議員

(理由)選択ではなく必須にすべき

●共産党 倉林明子参議院議員

(理由)年間104日の休日と5日の有給休暇付与を除く256日は際限なく働かせることが可能であり,長時間労働の歯止めにはならない。

その他

●日本維新の会政調事務局

(理由)仕事の内容は多様であり,労使協議会で決めるべきである。

●国民民主党(党としての回答)

(理由)そもそも「高度プロフェッショナル制度」は過重な長時間労働を合法的に課すことができる制度であり,働く人の健康は確保できない。

●社民党 福島みずほ参議院議員

(理由)労基法の例外を作ることが問題。

Q4 高度プロフェッショナル制度及び裁量労働制対象労働者にも,労働時間の上限規制を及ぼすべきか。

及ぼすべき

●自由党(党としての回答)

(理由)当然だから

●共産党(党としての回答)

●立憲民主 長谷川嘉一衆議院議員

●国民民主 白石洋一衆議院議員

●共産党 高橋千鶴子衆議院議員

●共産党 倉林明子参議院議員

(理由)これらの制度は,労働者を際限のない長時間労働に追いやるため,労働者を守るためにも,上限規制を設けるなど,要件と運用を厳格化すべき。高度プロフェッショナル制度については,創設すべきではない。裁量労働制は将来的には廃止すべき。

及ぼすべきでない

●日本維新の会政調事務局

(理由)勤務状況の把握は義務づけるべきであるが上限規制を設けることは趣旨に合わない。

その他

●国民民主党(党としての回答)

(理由)

・「高度プロフェッショナル制度」は過労死や過重労働を助長する制度であり,制度自体導入すべきでない。

・裁量労働制については,健康管理時間(社内と社外での労働時間の合計)の把握と記録を義務付け,それを上限規制の範囲内とすることを要件化すべきである。

●国民民主 大西健介議員衆議院議員

(理由)高プロにはそもそも反対。これらの制度は上限規制の例外。

●社民党 福島みずほ参議院議員

(理由)そもそも両制度に反対する。

Q5 残業時間の上限規制について,繁忙期には残業を月100時間未満とする案について

適切である

●国民民主党(党としての回答)

(理由)まずは過重な長時間労働を一刻も早く修正するため,時間外労働について早急に罰則付きの上限規制を導入すべきであるとの考えから,労使合意された数字を実現可能性が高いものと尊重すべきである。

適切でない

●自由党(党としての回答)

(理由)多すぎるから。

●共産党(党としての回答)

●共産党 高橋千鶴子衆議院議員

●社民党 福島みずほ参議院議員

(理由)過労死が増加する。

●共産党 倉林明子参議院議員

(理由)過労死ラインの残業を法律で容認するものであり,到底容認できない。週15時間,月45時間,年360時間という大臣告示を法制化すべき。

その他

●国民民主 大西健介議員衆議院議員

(理由)長すぎると思うが、労使のギリギリの合意なので、まずはここから始めて3年後には見直すべき。

●立憲民主 長谷川嘉一衆議院議員

●国民民主 白石洋一衆議院議員

●日本維新の会政調事務局

(理由)上限規制は,大企業はともかく,中小企業は本当に守れるのか。法律でどう設定するのかよりも,どう守らせるかの方が問題である。

G6 残業時間の上限規制について,年間720時間の上限規制の中に休日労働の時間が含まれていない点について

適切である

●国民民主党(党としての回答)

(理由)まずは過重な長時間労働を一刻も早く修正するため,時間外労働について早急に罰則付きの上限規制を導入すべきであるとの考えから,労使合意された数字を実現可能性が高いものと尊重すべきである。

適切でない

●自由党(党としての回答)

(理由)おかしいから。

●共産党(党としての回答)

●国民民主 大西健介議員衆議院議員

(理由)休日を含めないと実質960時間まで働かせることが可能になってしまう。

●社民党 福島みずほ参議院議員

(理由)休日は必要である。

●共産党 倉林明子参議院議員

(理由)過労死ラインを大幅に上回ることを法律で容認するものであり,容認できない。Q5の回答と同様。

その他

●日本維新の会政調事務局

(理由)Q5に対する回答と同じ。

●立憲民主 長谷川嘉一衆議院議員

●国民民主 白石洋一衆議院議員

●共産党 高橋千鶴子衆議院議員

(理由)720hourにそもそも反対。年360hour以内に。そのときは休日も含めてカウント。

Q7 長時間労働削減のための具体的な対策として,①労働基準法に労働時間を延長する際の量的上限規制を導入すること,②勤務と勤務の間の休息時間(インターバル)付与の義務化を導入すること,③労働時間記録の法的義務化(罰則付)について

賛成

●自由党(党としての回答)

(理由)過労死を防ぐためにも必要で、企業側にも労働者側にもメリットはある。

●共産党(党としての回答)

(対案)

①週15時間、月45時間、年360時間を労働基準法に明記し、例外なくすべての労働者に適用します。残業時間の青天井を容認する三六協定の特別条項を廃止します。
②勤務間インターバル規制は、一日の労働時間規制にもつながる重要な制度です。労働基準法に連続11時間の勤務間インターバルを明記します。例外は、必要最小限にとどめます。

●国民民主党(党としての回答)

(理由)過労死や過重労働が原因の健康被害を根絶するためには,実質的に無制限となっている労働時間の上限に罰則付きの法規制で歯止めをかけるとともに,この上限規制を実効性あるものとするため,勤務間インターバルの確保の義務付けや労働時間管理の徹底が必要不可欠であるため。

●国民民主 大西健介議員衆議院議員

●立憲民主 長谷川嘉一衆議院議員

●国民民主 白石洋一衆議院議員

●共産党 高橋千鶴子衆議院議員

●社民党 福島みずほ参議院議員

(理由)労働時間の規制が必要である。

●共産党 倉林明子参議院議員

(理由)同様の内容を「日本共産党の労働基準法改正大綱」に示している。

反対

その他

● 日本維新の会政調事務局

(理由)労働協議会で労使が話し合って決めればよい。


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